仏ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール誌「福島の最悪事故が起こるのはこれから?」
それは小さなプールに過ぎない。それでいながら地球規模の破壊力を秘めている。水を満たした深さ11メートルのコンクリート製のその四角い容器には、使用済みの燃料棒がみっしりと詰め込まれているのだ。高い放射性を持つ燃料棒264トンである。「冷却用」と呼ばれるこのプールは、かれこれ一年半、福島第一原発のぐらぐらになった四号機建て屋の地上から高さ30メートルの位置に横たわっている。防護する頑丈な屋根も壁もない。ただの白いビニールの防水シートに覆われているだけ。

この現状が孕む危険は計り知れない。台風(八月末からその季節が到来するのだが)や新たな地震の影響でプールの水が空っぽになったり、あるいはプールが崩壊したりなどしたら、引き起こされる惨事はおそらく人類史上例を見ない規模のものになるだろう。264トンの核燃料が直接空気にさらされた場合、チェルノブイリ事故の少なくとも10倍に及ぶ放射能を大気中に放出する可能性がある。それは現代日本の終焉を意味していると言う人々さえいる。少なくとも北半球全体が長期間に渡って深刻な汚染を受ける大惨事である。