そごう美術館で鴨居玲の回顧展。背景のないキャンバスのなかで、むしろそこに溶け込んでしまいそうになりながら危なっかしいバランスで存在する者たちの肖像は、実はそのまま拠りどころをもたない自分自身の自画像にもなっている。